潤滑油の基礎知識

自動車用潤滑油について

エンジンオイルの構成成分

エンジンオイルは、下記に示す様な成分で構成されます。

ベースオイル
[約80%]
鉱物油系 : 高度精製基油、VHVI~高粘度指数基油
合成油系 : PAO(ポリαオレフィン)、エステル
添加剤
[約20%]
酸化防止剤、摩耗防止剤、防錆剤、清浄分散剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、消泡剤など

ベースオイルについて

エンジンオイルに使用されるベースオイルは、主に下記に示す様な工程を経て製造されます。
ベースオイルについて

1. PAO(ポリαオレフィン)

PAO(ポリαオレフィン)

主に石油精製時に得られるエチレンガスなどのオレフィンを原料として合成されます。純粋なガス成分より合成される事から不純物の含有が無く非常に安定した特性を有しています。

2. 高度精製基油(鉱物油)

常圧蒸留により得られた重質留分を更に減圧蒸留し分留した潤滑油留分を脱硫・脱蝋・水素添加などの精製工程にかける事により得られる成分です。

高度な精製を行う事により硫黄などの不純物は概ね取り除かれておりますが、微量の残留があり安定性に僅かな影響を及ぼしています。

また、蒸留での分留であり更には主要な成分がパラフィン構造を有する事から低温での流動性は合成油に比較して大きく劣ります。

3. VHVI(高粘度指数基油)

前述の鉱物油を更に水素化分解し精製度を上げる事により得られる成分となります。鉱物油に比較して低温流動性や安定性は向上しますが、合成油には及びません。

ベースオイルの性質比較表

評価:非常に良好=/良好=/普通=/不良=×
潤滑油/性状 粘度
指数
低温
流動性
潤滑性
安定性
酸化
安定性
溶解性 プラスチックゴムに対する影響
鉱油 △-○ △-○
ポリαオレフィン △-○
ポリオールエステル
シリコーン ×

ベースオイルの使用可能温度範囲

ベースオイルの使用可能温度範囲

添加剤について

種 類 機能、作用機構の概略等
摩擦調整剤 潤滑剤の摩擦特性を望ましいように調整する添加剤の総称
粘度指数向上剤 油溶性高分子ポリマー。低温では小さく糸まり状に凝集し、高温では溶解性が増し伸び広がった状態になる。
清浄分散剤 清浄剤は高温運転における劣化物の沈積を予防、抑制するもので、金属系が多い。分散剤は比較的低温で発生するスラッジを分散させるもので、無灰系が多い。分散、可溶化および酸中和の3作用を有す。
流動点降下剤 (パラフィン系)基油よりもさらに低い流動点を要求される潤滑油に添加される物質で、析出するワックスの結晶形態を変え、流動点を下げる。すなわちワックスの結晶化および3次元的網目構造化を妨げたり、ワックス結晶表面への潤滑油の吸着を抑制する。
酸化防止剤 潤滑油の酸化は空気あるいは酸素存在下、熱、金属触媒、光等により加速される。この酸化反応は遊離基(ラジカル)連鎖反応によって進行し、初期酸化生成物として不安定なハイドロパーオキシドを生じ、さらにこれが分解して新たな連鎖を生じて加速的に進行する。酸化防止剤は遊離基あるいはハイドロパーオキシドと反応し、これらを安定な物質に変え、ごく初期に酸化の進行を停止する作用を持つ。また触媒となる金属の表面を被服したり、溶出金属と反応して、これを不活性化する金属不活性化剤も潤滑油の酸化を間接的に遅らせる。
さび止め添加剤 鉄および銅の表面に最ちょう密の状態で吸着し、さびの発生を防ぐ。極性基と適当な大きさの親油基(炭化水素基)を有する。金属表面に極性基が吸着し、強固な吸着膜を形成し酸素および水と金属表面との接触を防ぐ。この作用機構は油性向上剤と類似しているため、油性向上剤にはさび止め効果を示すものが多い。
消泡剤 泡消し剤とも称し、泡立ちを押さえるため使用される添加剤。潤滑油に不溶で、かつ表面張力が小さく泡沫に対し拡張性のある性質が要求される。
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