不水溶性切削油とは??
切削加工を行う際に工具と被削材の摩擦を低減する潤滑効果を得る為に使用します。水を含まない油剤であり、下記の役割を果たします。
不水溶性切削油の構成成分
不水溶性切削油の構成成分は以下の通りです。
その名の通り油剤のベースとして各種添加剤をつなぐ媒体としての役割を果たします。
油性剤には油脂やエステル類などがあり、多くの油性剤は長い炭化水素鎖の末端に極性基を有する化学構造を持っています。 この極性基を有する添加剤分子が表面に吸着配列して緻密な吸着膜を形成します。 油性剤は、比較的軽荷重領域の流体潤滑と境界潤滑が混合する潤滑領域で効果を発揮します。
極圧剤は別名Extreme Pressureの約でEP剤とも呼ばれ一般的には硫黄・リンなどの化合物があります。 実際の金属加工では、工具逃げ面と加工物の摩擦は温度圧力共に条件が緩和な為、油性剤の 効果があるが、切りくずの流れるすくい面の摩擦は高温高圧に晒され温度は500℃を超える場合が殆どである為、極圧添加剤は不可欠となります。極圧添加剤は、加工温度が上昇するに伴い分解して工具及び切りくずと反応して硫黄化合物は硫化鉄となり潤滑膜を形成します。この固体潤滑膜が優れた潤滑効果を示し、構成刃先の生成を抑制し、仕上げ荒さを向上させ、工具寿命を延長させます。これら潤滑膜は、それぞれの融点を超えると効果を失います。よって、それぞれの極圧添加剤毎に有効な温度レンジがあり、それぞれ補い合って優れた加工能力を発揮しているのです。
その他には防錆剤や酸化防止剤・ミスト制御剤等が含まれており、切削油に求められる役割を果たしています。
不水溶性切削油と水溶性切削油の違いについて
不水溶性切削油と水溶性切削油を比較すると以下の性能の差があります。
潤滑性については、水溶性と比較して優れています。一方、冷却性能は水溶性切削油の方が優れています。また、錆止め性能や酸化安定性に優れているのはメリットと言えますが、引火性を有する為、火災の危険性や保管について注意する必要があります。
原液、希釈液ともに引火点があると、消防法の危険品に該当するため保管等の数量に制限がかかります。また、火災の際に引火のリスクが上がります。
水溶性切削油は、クーラントの状態で時間が経つと腐敗し、菌が繁殖及び腐敗や本来の油剤の性能の劣化を引き起こします。
加工部品と工具との摩擦を低くし、工具及び加工部品にかかる力を低減し、工具の保護や加工をしやすくする性能です。
加工時に被削材および工具から発生する熱をクーラントが接触することにより吸熱し、工具の保護及び被削材の保護を行います。